TC10 (Open Alliance規格) とは | Ethernet(イーサネット)技術コラム
車載Ethernet基礎
TC10 (Open Alliance規格) とは
車載Ethernetにて用いられている規格、Open Allianceで規定されている「TC10」について解説します。
- Open AllianceのTC10とは
- 車載製品におけるTC10の重要性
- TC10策定前におけるスリープ/ウェイクアップ機能の問題
- TC10が実現したこと
- TC10を実現するスリープ ⁄ ウェイクアップ信号の役割

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Open AllianceのTC10とは
Open Allianceは、Ethernetの自動車ネットワークへの普及と発展を促進するために設立された業界団体です。この中でTC〇〇(*〇〇には数字が入ります)という様々な規格が規定されており、今回はTC10規格を取り上げます。
このTC10が規格された目的は、自動車に求められるスリープ ⁄ ウェイクアップ 仕様のサポートをすることです。Marvell社及びBroadcom社を議長として、Open Alliance内で議論、定義されています。
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車載製品におけるTC10の重要性
上述の通り、TC10は、スリープ及びウェイクアップメカニズムを定義する自動車用のEthernet規格です。このメカニズムに対応しているEthernet PHY及びスイッチに関して、TC10準拠のPHY及びスイッチと表記することができます。
このTC10規格に準拠することで、車両の低消費電力化、ECU温度の低温化に寄与します。この特性から最終的に、車両の燃費向上や、バッテリー消費電力の削減することが可能になります。
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TC10策定前におけるスリープ ⁄ ウェイクアップ機能の問題
従来のスリープ、ウェイクアップ機能では、下記の問題がありました。
- スリープ状態となった際、通信対向側から見ると、スリープ状態orリンクダウン状態の区別が無い
- スリープ状態からウェイクアップさせる場合、別の信号線が必要
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TC10によって実現したこと
TC10が規定されたことによって、車両の動作環境に応じて、動作必要が無い時にシャットダウンさせたり、必要に応じてウェイクアップさせることができます。また、スリープ時の消費電流を一定値未満と定義し、明確な基準を持っています。これにより車両全体の消費電力削減を実現し、効率的なネットワーク環境の構築につながります。
スリープおよび、ウェイクアップ信号に関しても、専用の信号線が不要となり、Ethernetケーブルを介してやりとりできるようになりました。この特徴は、部品点数の削減に寄与しています。
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TC10を実現するスリープ ⁄ ウェイクアップ信号の役割
スリープ要求は、Ethernetケーブルを介して実施されます。 まずはじめに、ホストからスリープ要求を出力します。スリープ要求を受けたリンクパートナーは、アイドル信号出力を停止し、スリープ状態に入ります。このアイドル信号が止まったことを検出し、ホストもスリープ状態に入る、という動作をします。
ウェイクアップは、2つの方法で実現しています。1つめは、PHYのウェイクピンをハイににする、ローカルウェイクアップという動作です。2つめは、ウェイクアップ信号がEthernetケーブルを介して送信される、リモートウェイクアップという動作です。
その他にも、検出時間や状態定義等が細かく規定されていますが、詳細については、OpenAllliance内にて規定されておりますので、規格書をご参考ください。
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ネクスティ エレクトロニクスでは車載Ethernet規格に準拠したEthernet
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