MACアドレステーブルとデータ転送方法 | Ethernet(イーサネット)技術コラム
ネットワーク上でデータを特定デバイスに送信する際には、中継デバイスによってデータを転送してもらう必要があります。
中継デバイスは、複数デバイスに接続されていることが多く、データ送信する際に各中継デバイスが全ての接続デバイスに転送してしまうと送信データ総量の増加に伴い、各中継デバイスがデータ処理する時間も増加しネットワークの遅延に繋がります。
L2スイッチに搭載しているMACアドレステーブルによって、そのような問題を解決できます。
MACアドレステーブルによって、送信先を指定してフレーム転送することが出来るので効率的にデータ転送することができます。 コラム
車載Ethernetスイッチとは?/L2Routingでは、L2スイッチの働きや車載Ethernet Switchが扱う転送方式の概要ををお伝えしました。
本コラムでは、MACアドレステーブルおよび、MACアドレスを用いた転送方法について詳しく解説します。
MACアドレステーブル
MACアドレスとは
MACアドレスとは、ネットワーク機器に割り当てられ、16進数で表記される固有の番号です。上位24bitはIEEEが管理しているベンダー番号で、下位24bitはベンダーが管理している製品番号です。双方とも一意の番号になっているため、各デバイスのMACアドレスは重複しません。
また、製造時に割り振られ、利用者が変更する事はできません。
MACアドレステーブルとは
MACアドレステーブルとはフレームの転送に使用されるデータベースです。L2スイッチに接続されているデバイスのMACアドレスとL2スイッチのポートを関連付けています。
MACアドレステーブルに登録する方法は2種類あり、手動で登録するスタティックMACアドレスラーニングと、フレームが受信された際に自動的に登録されるダイナミックMACアドレスラーニングです。
MACアドレスの登録と削除
スタティックMACアドレスラーニング
手動でMACアドレスをMACアドレステーブルに登録します。MACアドレスを削除する際も同様に手動です。自働でMACアドレスが削除されることはありません。
ダイナミックMACアドレスラーニング
自動でMACアドレスをMACアドレステーブルに登録します。送信元MACアドレスを含むパケットがL2スイッチに送信され、MACアドレステーブルに登録されていなかった場合にのみMACアドレスがテーブルに追加されます。
また、エージングと呼ばれる機能によって時間経過によりMACアドレス自動で削除されます。
送受信パケットに関してはEthernetフレーム(技術コラム)に記載しています。
複数デバイス接続時のパケット送信
Host_AからHost_Dにパケット送信するときの動作は以下の通りです。
MACアドレス登録時
送信先のMACアドレスがテーブルに登録されている場合、L2スイッチはパケットを対応ポートにのみ転送します。これをフィルタリングと言います。
MACアドレス未登録時
送信先のMACアドレスがテーブルに登録されていない場合、L2スイッチはパケットを全ポートに転送します。これをフラッティングといいます。送信元のMACアドレスはアドレステーブルに登録されます。また、自分宛ではないフレームが届いたホストはパケットを破棄します。
L2スイッチ間接続のパケット送信
スパニングツリー
ネットワークを冗長化するため、複数L2スイッチを接続します。アドレステーブルにMACアドレスが登録されていなかった場合にフラッディングを行うことで、ネットワークの一部にループが発生する可能性があります。これをブロードキャストストームと言います。結果としてネットワーク帯域が圧迫されネットワーク機能がダウンしてしまいます。
スパニングツリーはブロードキャストストームを防ぐため、ポートの一部を無効化してループを切断する機能です。そのプロトコルをスパニングツリープロトコル(STP)といい、IEEE802.1Dで規格化されています。また、STPを改良したプロトコルに、RSTPやMSTPがあります。
リンクアグリゲーション
L2スイッチ同士を複数ケーブルで接続すると、ループが発生し、STPによって回線がブロックされてしまいます。リングアグリゲーションは複数のポートを1つの論理ポートとみなし回線を集約する機能で、IEEE802.3adで標準化されています。
リンクアグリゲーションの利点は以下の通りです。
- 回線を集約による帯域増加
- 複数回線の利用による負荷分散
- 回線の冗長化による可用性向上
まとめ
本コラムでは、MACアドレステーブル及びをMACアドレスを用いた転送方法について説明しました。 アドレステーブルの状態や接続環境によってさまざまな転送方法があります。
正常に転送できない場合の対策もL2スイッチの機能として存在します。
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