半導体レーザーとは
半導体レーザーとは、電気を流すことでレーザー光を得ることができる半導体素子です。
LEDと同じく、p-n接合部に順方向電流を流すことで発光します。
LEDと異なる部分は、p型とn型半導体の間に活性層と呼ばれる発光層を構成し、レーザー光を生成する仕組みとなっていることです。LEDに比べ、位相の整った強い光を発生出来るため、センシング、材料加工、通信などの、幅広いアプリケーションで利用されています。
半導体レーザーの仕組み
半導体レーザーの一般的な構成を図で示します。
n型とp型のクラッド層で発光層を挟んだ構造(ダブルヘテロ構造)で形成されます。
LEDと同様に、半導体レーザーへ順方向バイアスをかけると、n型クラッド層の電子とp型クラッド層のホールが活性層内で再結合し発光します。この光は、活性層の両端面が反射ミラーの役割を果たすことにより活性層内に閉じ込められ、増幅されながら往復します。これを誘導放出と呼び、光が十分に増幅されると位相の整った強い光となり外部に放出されます。
次のセクションで、半導体レーザーのタイプ別に図を示します。
半導体レーザーのタイプ
半導体レーザーには代表的な2つのタイプがあります。
FP(ファブリペロー)型
FP型半導体レーザーは、向かい合った2つの平行ミラーで光を閉じ込め誘導放出を生じさせます。この時レーザー光のスペクトルはある程度の幅を持ち複数の波長(マルチモード)で発振します。
DFB(Distributed Feedback)型
活性層とクラッド層の境目に回折格子構造を持つ半導体レーザーです。
回折構造により特定の単一波長のみ(シングルモード)で発振します。
一般的に、マルチモードレーザーは光出力が高いため、描画や加工等の製品に適しています。
一方、シングルモードレーザーは低出力ですが波長の単一性に優れているため、光通信等の製品に適しています。
半導体レーザーのビーム広がり角
FP型やDFB型等の半導体レーザーでは、出力端面近傍と、出力端面から離れた場所ではビーム形状が異なります。出力端面近傍のビームパターンをNFP(Near Field Pattern)、
離れた場所でのビームパターンをFFP(Far Field Pattern)と呼びます。
図の通り、半導体レーザーの出力端面近傍でのビームパターン(NFP)は活性層の水平方向に広い横長の楕円形状となりますが、端面から離れた場所のビームパターン(FFP)はNFPと比べ90°ねじれた形になり、活性層から垂直方向に広い縦長の楕円形状となります。
これは活性層の垂直方向の厚みが水平方向に比べ非常に薄く、レーザー光が大きく回折してしまうためです。