各技術の比較
上図の通り、高速伝送が特徴であるWLAN、短距離無線が最大の強みであるANT、スマホ連携が得意なBluetooth、国内ではあまり普及していないが世界的には普及しているZigBee、1GHzまでの無線周波数で多様な周波数と通信速度が実現できるSub-GHz無線とその拡張システムなどに分けられます。
上の表から読み取れる通り、国際規格のIEEE802.15.1では、ネットワークトポロジーはP2P、Starです。
これは、IEEE802.15.1という規格をベースにすると、P2P(1対1)やStar(1対N)という比較的簡単なネットワーク構成しか取れないということを示しています。
一方、IEEE802.15.4の場合は、P2P、Star、Tree、Meshといった、すべてのネットワーク構成が可能になります。
ZigBeeとThread
ZigBeeとThraedは、ほぼ同義で使われることがありますが、二つの規格の共通点は低消費電力と低データレートを特徴としていることです。
スマートホーム空間における、無線制御や監視アプリケーションなどの低消費電力を維持しながら、近距離で、かつ少量データの無線通信に適しています。
ZigBeeとThraedの主な違いのひとつとして、Threadがインターネット・プロトコル・バージョン6(IPv6)を活用している点があります。
Thread は、既存の IPv6ベースのWi-Fiネットワークと普通に接続することが可能です。
一方、ZigBeeはゼロからネットワークを構築する必要があり、ネットワーク内の各ノードは16ビットのアドレスを取得し、アプリケーション・レイヤー・ゲートウェイを使ってIPに変換することが必要になります。
下図に示すように、Threadがアプリケーション層を定義していないのに対して、Zigbeeはアプリケーション層までに定義しています。
このため、アプリケーション層の開発容易という点からはThreadの方がより柔軟性が高くなります。
ZCL:Zigbee Cluster Library
BDB:Base Device Behavior
APS:Application Support Sub-layer
もう一つの違いとして、消費電力が挙げられます。
Threadは、バッテリー駆動のIoTデバイスに適した低消費電力プロトコルとして設計されています。そのため、エネルギー効率に優れたルーティングアルゴリズムを使用して、消費電力を最小限に抑えられます。これにより、Threadデバイスは、スリープ期間を最適化し、アイドル時のエネルギー使用量を削減することで、長時間のバッテリー駆動を実現できます。
一方、ZigBeeは、低消費電力動作でも知られていますが、上図で示すようにソフトウェア・スタックが大きいため、Threadよりも消費電力が大きくなる傾向があります。