MOSFET(モスエフイーティー)をもっと知ると業務がさらに楽になる!|技術コラム
MOSFET(モスエフイーティー)をもっと知ると業務がさらに楽になる!
さまざまな分野の電気回路に使われるMOSFETは、電気をコントロールする時に使われることが多く、主にスイッチとしての役割を持っています。そのため、多くの電子機器で、電気を流すときのオン・オフの切り替えを目的に活用されています。
本コラムでは、MOSFETとはどのようなものなのか、その概要や構造、動作、そして選定方法について説明します。
日々の業務が少しでも楽になるように使ってほしいからこそ、ぜひ、MOSFETをもっと詳しく知って、選ぶ際の参考にしてください。
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MOSFETとは
MOSFETの動作について
高速にスイッチできるということは、モーターの正確な制御や、データの素早い処理ができるということでもあります。
MOSFETは、電圧駆動で多くの電流を必要としないため、電気の使用量を軽減できるうえ、冷却のための部品を追加する必要もありません。スイッチする際に実際に部品が動くわけではないため、壊れにくく長く使い続けられるところも魅力です。
また、MOSFETは、ゲートにかける電圧が大きくなるほど、電流が流れる「チャネル」という道が広がるように設計されています。「ソース」から「ドレイン」に電子が流れるときにチャネルの幅が広がって電流が増えるのですが、チャネルが低抵抗で電子の流れを遮りにくいことも、大きな電流をスムーズに流せる理由です。
それにより、MOSFETは小型・軽量でありながら大きな電流を扱えるところが、さまざまなパワーエレクトロニクスで活用される要因にもなっています。
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MOSFETの魅力について
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2.直接駆動で回路を簡素化できる
バッファーアンプを必要とせずに直接動作できる特性が、回路の簡素化を可能にしています。
先ほどもお伝えした通り、MOSFETは、電圧をかけるだけでスイッチをオン・オフできる部品です。これにはほとんど電流が必要ないため、他の回路(例えばマイクロコントローラ)から直接制御することができます。
つまり、追加の部品(バッファーアンプ)を使わずに簡単に使えるため、回路の設計がシンプルになります。このように、MOSFETを使うことで回路設計が簡単になるだけでなく、コストも低く抑えられるというメリットも生まれます。 -
3.電力ロスなく高効率での電力変換
電力をほとんど消費せずにスタンバイ状態を保つことができるため、高効率で電力を変換できるという特性があります。これがあるからこそ、MOSFETは電力のロスを最小限に抑えながら、高効率で電力を変換でき、省エネにも大きく貢献しています。 -
4.高い集積密度
小型で軽量という構造特性から、回路内での集積密度を上げることが容易です。これは回路内でたくさんのMOSFETを使うことができるということで、複雑な回路をコンパクトに設計できるため、デバイスの性能向上や省スペース化が可能になり現場は作業が楽になっていきます。 -
5.高温環境下での安定性
構造上、熱を帯びにくい特性をもつため、高温環境下でも安定した動作の維持が可能になりました。そうした特徴が、MOSFETの寿命の長さにも深く影響していて、発熱が少なく高温環境でも安定して動作をするため、様々な用途で長く安心して使用することができるようになったというわけです。
MOSFETは、とても小さな部品であるにもかかわらず、それ一つで大きな電力を安定してコントロールすることができます。結果、高性能で高電力なパワーエレクトロニクス製品に欠かすことのできない部品となっています。
MOSFETの用途
MOSFETは、電気をスムーズかつ正確にコントロールする必要がある場面で不可欠な存在です。その用途は、小さなものから大きなものまで多種多様で、さまざまな産業分野で活用されています。たとえば、工場用機械の操作や電車の速度変更、電気自動車の充電システム、太陽光発電用のインバーターなどのほか、最も身近なところではスマートフォンやTVなどのリモコンといったものの内部にも用いられています。
スマートフォンやリモコンのような小さな機器において、MOSFETは欠かせません。もしも、MOSFETがなければ、今よりももっと大きく重たいものになっていたでしょう。
MOSFETは、製品の小型化や軽量化にも重要な役割を担っているのです。
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MOSFETの素子選定で着目いただきたい電気特性項目
これらの4つの項目を踏まえ、用途に合っているかどうか、各性能との整合性をチェックし、MOSFETを選ぶようにしましょう。不適切なものを選んでしまうと、電子回路が正常に働かずに機器がうまく動作しないばかりか、故障の要因にもなります。
チェックをする際にやるべきことは、まずは用途に合わせたものを選ぶことからはじめましょう。それから、安定して動作するかどうかをテストしてください。そのときに役立つのが磁気電流センサーです。
磁気電流センサーは、直接電流に触れずに磁場の変化から電流を感知できるため、MOSFETにどれだけの電流が流れているかを安全に知ることができます。
絶対最大定格
どのような素子にも、安全に動作するための限界値や条件が決められています。それが「絶対最大定格」です。絶対最大定格は、この値でも動作できるというものではなく、一瞬でも超えてはいけない値を指します。
仮に、この限界値を超えてしまうと、素子が強いダメージを受けて、破壊や損傷、劣化といった故障の要因になります。反対に、絶対最大定格から実際の値が離れるほど、安定した動作を期待できます。
MOSFETを選ぶ際も、それの絶対最大定格ができることを把握しておきましょう。データシートや仕様書に必ず記載があるため、チェックを忘れずにしてください。絶対最大定格が定められているのは、主に電圧や電流、温度といった項目です。
回路を設計するときは、繰り返しますが、絶対最大定格を超えないように作る必要があります。
電気的特性
電気的特性とは、どのように電気を流したり止めたりすることができるのかを表す性質のことをいいます。MOSFETでは、ゲートに電圧がかかればオンになって電気が流れ、反対にゲートから電圧を取り除けばオフになって電気が流れなくなります。いわば、これがMOSFETの電気的特性です。
具体的には、主に以下の3つの特性があります。
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1.しきい値電圧
しきい値を境に、電圧が高ければオン状態に、低ければオフ状態になります。 -
2.ドレイン電流
オンのときに、ドレインからソースへ流れる電流量のことです。ゲート電圧が高くなればドレイン 電流が増加し、低くなればドレイン電流が減少します。 -
3.オン抵抗値
オンのときに流れる電気への抵抗の大きさのことです。抵抗が小さければ小さいほど、電流はよりスムーズに流れます。
つまり、MOSFETの電気的特性とは、どれだけ効率的にスイッチングできるか、どれだけの電力を扱えるかを意味するともいえます。
まとめ
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