モータードライバーとは?使う理由や特徴を解説|技術コラム
モータードライバーとは?使う理由や特徴を解説
モーターを使ったさまざまな製品にとって欠かすことのできないのが「モータードライバー」です。
モータードライバーは、電気モーターを制御するための素子で、モーターを動かすための司令塔です。モーターを使った製品を設計する際には、どのようなモータードライバーを使うか、その選定は大変重要な要素になります。
本コラムでは、モータードライバーとはどのようなものなのか、その特徴に加えて種類やメリットまで解説します。モータードライバー選びに、ぜひお役立てください。
モータードライバーとは?
モータードライバーは、電気モーターを正確にコントロールするためのデバイス(素子)で、モーターに対して速度を上げたり下げたり、方向を変えたり、停止させたりする命令を伝える役割を担っています。また、モーターを動かす以外にも、モーターが適切に動くようにするための保護機能や診断機能も備えています。
基本的な仕組みとしては、マイコンからの信号に基づき、モーターの回転速度や方向、ブレーキなどをコントロールしています。
モータードライバーの種類
モーターのタイプに応じていくつかの種類がありますが、その中から主な種類として以下の3つを紹介します。
・ブラシ付きDCモータードライバー
・ブラシレスDCモータードライバー
・ステッピングモータードライバー
ドライバーの種類は、上記のようにモーターのタイプで分類される以外に、駆動方法やシステムの互換性など他の要素でも分けられます。どのようなモーターで、さらにはどのような要素を求めるのかによっても選ぶべき種類が異なりますから、選ぶ際にはそれらのポイントをまず洗い出しましょう。
上記で挙げたモータードライバーの特徴について、以下でご紹介します。
具体的には、次の3つの機能を持ちます。
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Hブリッジ回路
Hブリッジ回路とは、アルファベットの「H」の形に似ているのが由来の電気回路です。4つのスイッチがあり、これらのスイッチを切り替えてモーターに流れる電流の方向を変え、モーターの動きを制御しています。 -
保護機能
保護機能とは、過電流や過熱を防いでモーターを安全に使用するための機能です。モータードライバーには、この機能が内蔵されています。 -
パルス幅変調制御
パルス幅変調制御は、PWM制御とも呼ばれ、電気信号のオン・オフの時間を調整することによってモーターへの電力供給量をコントロールする機能です。この機能があることで、モーターの速さを細かに調整できるようになっています。
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ブラシ付きDCモータードライバー
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ブラシレスDCモータードライバー
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ステッピングモータードライバー
モータードライバーICと絶対最大定格とは?
モータードライバーICとは、DCモーターやステッピングモーターといったモーターを安定かつ正確にコントロールするための装置を一つに集めた専用回路のことです。
IC(Integrated Circuitの略)とは集積回路を意味しており、これには制御に必要な回路のほか、安全かつ安定して動作するための保護機能を持つ回路などが1つのパッケージとしてまとめられています。
こうしたモータードライバーICも、モーターの種類によって対応するものが異なります。そのため、使用するモーターに応じたドライバーICを使う必要があります。
そこで重要になってくるのが、「絶対最大定格」という規格です。
絶対最大定格とは?
絶対最大定格とは瞬間的であっても決して超えてはならない限界値のことです。製品のデータシートなどには必ず記載があります。もしも、2つ以上の項目で絶対最大定格が決められている場合は、どの項目も同時に超えてはならないことを意味するので使用時は注意が必要です。当然ながら、設計段階から絶対最大定格を超えないように配慮する必要があります。
モーターやドライバーのように精密な部品を扱うケースではなおさら、電圧や電流、温度の超過は避けないといけません。それが原因となり、製品の故障や部品の損傷・劣化といった悪影響を及ぼすことが十分にあるからです。ドライバーICのように多くの部品を集積した回路では、どこか一か所でも損傷すれば、回路そのものを修理したり、あるいは取り替えたりといったことにもなりかねません。
絶対最大定格は、その値に達しない範囲で扱うべきものです。
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モータードライバーを使うメリット
回路を簡素化できる
モータードライバーを使わずにモーターを制御しようとすると、制御に必要な回路を一つひとつ設計することになるため、回路が複雑になります。部品点数も増えるので、実装面積が大きくなり、集積させたいサイズに回路が収まりきらないといった事態が起こります。それだけでは済まず、基板サイズに応じて製品サイズにも影響が出ます。それらが原因でコストが増えてしまいます。
そうした問題を解決してくれるのが、モータードライバーです。制御に必要な回路がすでに1つにまとまっているため、回路そのものがコンパクトになります。つまり、モータードライバーの存在は、製品の小型化や軽量化、コスト削減にも役立っています。
設計工数を削減できる
部品点数が増えれば、それに応じて回路が複雑になるので、部品の配置や配線設計で自然と設計工数も増えてしまいます。回路が複雑化するに従い、それぞれの回路での評価も必要です。部品ごとに絶対最大定格が決まっていますから、それを超えない設計にしなくてはいけなくて、単純に考えても評価にかかる時間も増えていきます。製造過程においても、回路が複雑になれば、その分だけ時間がかかります。
しかし、モータードライバーは、モーター駆動のために設計された集積回路ですから、配線設計の手間も軽減できます。また、回路がシンプルになることで評価にかかる時間も短縮できて、設計から製造までの工数の削減も可能です。
豊富な保護機能
多くのモータードライバーには、過電流や過熱を防ぐための保護機能が内蔵されています。モータードライバーを使わない場合、安全性や安定的駆動を考慮すると、これらの保護機能を自前で用意する必要が出てきます。電流や温度を検知するための回路を一つひとつ設計して、それらを実装することで回路も煩雑になる可能性もでてきます。その結果、製品を効率的に開発することが難しくなります。
しかし、モータードライバーを使えば、それらの保護機能はすでに実装されているので、性能面でも信頼性があります。
また、ドライバーの性能に関しても信頼性がありますから、製品の安全性向上や評価工数削減にも寄与してくれます
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まとめ
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